相続財産承継業務など

司法書士法施行規則31条業務

司法書士は、当事者の依頼により、管財人、管理人、後見人、保佐人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理もしくは処分ができる。(司法書士法施行規則第31条)

1. 財産管理に関すること

〈相続財産管理〉
司法書士は、相続人から依頼を受け、遺産管理人として相続財産の承継事務をすることができます。具体的には、不動産の登記名義変更はもちろんのこと、金融機関への残高証明の請求や預貯金の解約、相続人への分配、税理士への税務申告手続きの依頼、官公署への手続きなどを行います。
〈遺言執行者の就任〉
公正証書遺言により、司法書士が遺言執行者に就任をし、その遺言どおりに相続財産を管理し、上記相続財産管理にある手続きを進めていきます。遺言執行者は誰でも就任できるのですが、法律で管理人となれる専門家が就任することで、相続人や受贈者の負担を軽減することになります。
〈生前財産管理〉
自己の生活、財産管理について代理権を与える委任契約をするものです。たとえば相続税軽減のために税理士と協力して遠方の不動産の管理、処分(現金化)をする旨の委任契約を結ぶことが考えられます。また、任意後見契約と同時に、判断能力が不十分になる前であっても、自己の生活、財産管理について委任契約を結ぶことで、入居施設への支払いや入院費用の管理などを司法書士が行うことができます。

2. 事業の経営に関すること

〈顧問契約〉
中小企業の法務問題を含む経営に関して、継続的に相談・助言を行う顧問契約になります。契約の内容としては、役員変更などの商業登記はもちろんのこと、株主総会議事録等の作成と整理、権利証等の整理、各種事務処理の支援として契約書の作成とチェック、業務委託契約の期日の管理から親族の相続、事業計画の助言、他士業と連携した運営支援まで対応しております。顧問料は月1回の訪問(御用聞き)を原則として、月2万円から作業量に応じてとなります。
〈監査役への就任〉
社外役員として各会議へ出席・意見を述べることで取締役の職務の執行が法令・定款を遵守して行われているか、また他の監査役と連携してどうかを監査することになります。監査役として会社法上の義務を負うため、独立性や責任問題の対応を含め、実際に就任するかどうか決定します。

3. 後見に関すること

〈成年後見制度とは〉
認知症などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。
〈法定後見〉
家庭裁判所が関与し、成年後見人を選任する後見制度で、判断能力の程度によって契約などの代理権の範囲や同意の範囲が決まっています。
〈任意後見〉
本人が十分な判断能力があるうちに,将来,判断能力が不十分な状態になった場合に備えて,あらかじめ自らが選んだ代理人に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約 (任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。

4. 裁判所への管理人申立

〈相続財産管理人の選任〉
相続人の存在,不存在が明らかでないときや相続人全員が相続放棄をしたときには,家庭裁判所は,申立てにより,相続財産の管理人を選任します。特別縁故者に対する相続財産分与がなされる場合もあります。
〈不在者財産管理人の選任〉
従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に,家庭裁判所は,申立てにより,不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため,財産管理人選任等の処分を行うことができます。
※所定の研修を受講し、家庭裁判所の名簿に登録をしております。